塗装屋のみがき。ポリッシャーの種類をどう考える?

磨き

今回は みがき の道具、ポリッシャーについてのお話です。

塗装屋が磨きを行う主な理由は塗装時についてしまったゴミと言うかブツの処理。

後は塗り肌の調整だったり、艶引きしたクリヤーに本来の輝きを取り戻させるだとか光沢感の底上げが目的です。

効率を考えると理想はノンポリ(ノンポリッシュ)ですが、やはり磨きをかけた方が断然綺麗になります。

なので僕はほぼほぼ。。毎回みがいてます。

で、みがきで必要なものと言えばポリッシャー、バフ、コンパウンド。
この組み合わせ次第でみがきのレパートリーは無限大!?と言い切ってもいいかもです。

どれ一つとっても奥が深く突き詰めると面白いのですが、今回はポリッシャーについてお話します。

リョービのPE-202(左)とPED-132(右)

左側がシングルアクションポリッシャーで、右側がダブルアクションポリッシャーです。

僕が使っているのは主にこの2種類です。(細かい凹凸部や狭い場所など局所的なみがきにはエア駆動のミニポリッシャーも使います)
他にもギアアクションなんていうちょうどシングルとダブルの中間的位置付けのポリッシャーもありますが、僕は持っていません。

これはみがきに対する考え方次第です。なので意見は職人それぞれで、もっと言えば塗装職人とコーティング職人でも分かれるところかと思います。

とりあえず、それぞれの特徴から簡単に説明します。

↓ シングルアクションポリッシャーは研磨力は強いが塗面に熱が加わりやすい。回転が単純なためにモヤモヤ?ギラギラ?した磨き傷が出やすい。っていうか厳密にはどんなに目立たなくても削っている以上は出るでしょう。これを業界ではオーロラと呼びます。とある人が完全に硬化したクリヤーはシングルでみがいてもオーロラは出ないと言っていましたが、それって削れてないだけじゃないの!?って僕は思います。

シングルアクションポリッシャーの軌道

↓ ギアアクションポリッシャーは研磨力そこそこにオーロラも出にくいと言った万能選手。これ一台でペーパー目(ゴミ処理の痕)の除去や肌調整。さらには仕上げまで全部まかなえる都合のいいヤツ。でも悪く言えば中途半端なヤツです。まぁ、バフとコンパウンドの組み合わせ次第で如何ほどにも対応可能だとは思います。でも正直シングルを使っている僕としてはペーパー目を消すのにはとてもじれったいです。と書くとペーパー目を深く入れすぎてるんじゃないかと思われるかもしれませんが、めちゃくちゃ優しく丁寧に気を使って処理しています。番手でいうと2000番ないし3000番スタート。状況により5000番まで目を置き換えます。(3Mのトライザクトなかなか良いです)

ギアアクションポリッシャーの軌道(一例)

↓ ダブルアクションポリッシャーは研磨力が弱いが、細かい傷の処理が得意。オーロラの除去はこれが一番最適かと思います。仕上げに特化したモデルと言えばわかりやすいでしょうか。無駄に肌を削らないので新車肌に近い仕上げも得意ですね。ただこれも言い変えれば削れない。キツめの傷は消えないってことになります。なのでこれを使うまでの過程が大切でしっかり傷の置き換えができていること。これができてないと艶がでても深い傷は残ったままで本来の艶感は損なわれ残念な仕上がりになります。

ダブルアクションポリッシャーの軌道(残念な作図 笑)

ここからは「今」の僕の考えです。

目消しや肌調整はシングルアクションポリッシャーの仕事。切れ重視で細目のコンパウンドやウールバフを組み合わせてサクッっと処理。 熱を加えない間に目を消し去ります。

次に艶出しはダブルアクションポリッシャーの仕事。超細目とダブルの組み合わせで今度はオーロラを消しながら艶を出して最終的に超微粒子のコンパウンドで仕上げます。

つまりはシングルは目消しと肌調整。艶出しはダブル。と、言うふうに専業制にしています。
餅は餅屋。これが一番効率よく綺麗に仕上げる方法と僕は考えています。

あくまでこれは僕のやり方なので人も環境も違えば求めるものも違う。ただ、今の僕ができる最高の仕事がこのやり方であるだけのことです。
常に向上心は忘れないように心がけていますので「開眼」してまた別の考えに変わるかもしれません。

今日もマニアックな戯言にお付き合いいただきありがとうございました。

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