今日は調色作業について書いていこうと思います。
大筋は同じでも工場によって、人によって、調色のアプローチの仕方は違うと思います。その中でもうちのやり方は少し風変りかもしれません。
今回は写真のヴィッツでカラーコードが9AE。角度により青白くも紫がかって、光が入ると黄色いパールがホヮーーッと怪しげに主張する色です。伝わるか不明ですが。。笑
ご覧の通り天井が剥げてますね。これの修理をするためにまずは色を作っていきます。
すでにテストシートを貼ってますが、最初に色見本を見て現車と比色します。
色見本は色によってだいたい3、4枚くらいで、よく使われている色だと15枚くらいあります。その中から一番近い見本。もしくは調色作業で現車の色に一番持っていきやすそうな色を選びます。
通常はそれで作成していくのですが、色見本が少ない場合やどれも全然近くない場合はコンピュータを参考にします。ニッペではカラボと呼んでますね。
カラボの専用カメラで現車の色を採取してコンピュータに取り込みます。色見本の中で最適なものを選んで、それを現車の色により近づけるために計算して補正をかけてくれます。ただ、注意が必要で現状では鵜呑みにはできないシステムです。どうにもならない色見本からどうにもならない補正をかけてくることも普通にあるからです。さっき「参考」と書いたのはそのためです。
で、今回の調色ではどうだったか。数枚ある中の色見本で一番いいと出した色見本は僕の意見と一致しました。下の色見本がそれです。
誰が見てもわかるように色見本(下)は濃いですね。でもニッペの色データではこれが一番「マシ」でした。
で、カラボの補正結果には納得がいかなかったので、補正は僕がかけました。勘です。笑
色味が足りてないですが、薄さは初回としてはまずまずの結果でした。
で、次にどうするか。いろいろな角度、比色する場所を変えて考えます。
屋根での比色はまずまずですが、ボディ側面では全然違いますね。これはボディ自体が経年劣化で上面(ルーフ、ルーフサイド、ボンネット、リヤゲート上面)の色が褪せているのが原因です。なので上に寄せようとして作った色をボディ側面にあてるとこうなります。
ですが、本来の色(元色)にこだわって作成して、それを天井に塗ってもそれは完全に別色になります。ルーフサイドやリヤゲート上面など隣接するパネルすべてを塗れば色の問題はおこりませんが、作業的にも費用的にもそういうわけにはいきません。
なので本来の・・は置いといて。上面の現状の色に近づけるように調色します。今回大事なのはルーフサイドとリヤゲート上面の色です。
調色の方向性が見えてきたところでどんどん調色を進めていきます。
今回、カラボとは最初の「補正」で決別したので、ここからはオリジナルの表計算シートを使ってセミオートで調色します。
原色の配分を調整していくのですが、どの原色がどれだけ作成した色に入っているのか0.1g単位で管理しているので「たし算」ではなく「引き算」の調色が可能になります。
この辺りがセミオートと書いた理由です。同業の職人さんにしかわからない話なので一般の方は深く考えないで適当に流してもらえればいいです。笑
で、完成した色がこちら(Take8)↓
どうですか?まぁまぁの色が出来上がったんじゃないかと思っています。
以上がうちでやってる調色作業でした。
まったく同じ色を再現することは残念ながら及びませんが、できる限り努力はさせていただきますので、ご相談あればお気軽にどうぞ。
今日は長々とありがとうございました。